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南三陸町における支援状況調査について(7月~8月)

南三陸町においては、5-8月を3フェーズに分け、現状把握、調査から計画策定、各団体への支援体制の提言までを実施します。

第3フェーズ(7-8月)では、第1・2フェーズの調査を元に現地ニーズに基づく支援体制の提言に向け
現地ヒアリングを実施しました。
また、これまでの活動を元に、事業支援・生活支援の課題を把握し、提言にまとめました。

[7-8月の現地の状況]
7月にかけて、南三陸町では仮設店舗を設置して事業を再開するお店が目立ち始めました。
未だ建築制限がかかる街中(志津川地区)にも青果店、食料品店、仕出し屋等がプレハブで店を再開し、仮庁舎付近の高台でも、20件を超える店が拠を構え、再開し始めています。
また、避難所となっていた施設も含め、ホテル1件、民宿3件の宿泊施設も通常の宿泊客をとり始めています。
一方で、町内に十分な需要を見込めず、町外、特に避難先になった登米市で新たな店舗を設け、
再開するケースも10件程度あるとの情報を得ました。

しかしながら、事業再開を決めた方はまだ一握りです。
生計を立てていくためにも事業の再開を望んでいるが、現在のところは、緊急雇用創出基金による、
臨時職員の職や、がれき撤去等による収入に頼っているという方も少なくありません。
町職員の方へのヒアリングで、
「震災以後、さまざまなイベントが行われてきたが、そろそろ、事業を『定着させるための動き』が必要だ。」
「外からの目を入れる、と言うのは非常に有用だと思われる。」
「国からの補助にはスピード感がないため、走り出したいと考えている事業主の背中を押す存在が必要だと思われる。」といった声も聞かれました。

[各種団体の状況]
漁業に関し、宮城県漁業協同組合志津川支所に現状をヒアリングしたところ、
10月中に完成予定の仮設市場については完成が多少遅れそうなものの、
19港に約20mの、船を接岸できる施設が建設される予定であるとのことです。
7月のたこ漁に続き、9月以降、秋鮭の漁が始まる見通しです。

尚、漁港の復旧工事に関しては、南三陸町庁舎ならびに他の公共施設の建設案が議会において
ひとつの案件となっているため、すべての事項について議案が通らなければ、着工の見通しが立たないとのことでした。

[仮設住宅団地の状況]
8月いっぱいでの避難所閉鎖に伴い、すべての方が仮設住宅に入居しましたが、
それにより域外からの支援が難しくなっているという状況は変わっていません。
また、支援員の見回りはあるものの、自治会が機能していない団地も存在し、
住民同士のコミュニケーションの充実度に団地間で差があるように見受けられます。

以下、いくつかの仮設住宅住民、役員並びに域外からの支援者にヒアリングしたことを紹介します。
もちろん、これらの状況は、すべてに当てはまるものではなく、むしろ「その環境は同じものはない」と認識していただくほうがよいと思います。

●仮設住宅内
農業、漁業等で現役だった70代以上の高齢者が、
「仕事(畑仕事と言った賃金が発生しないものも含め)や、やることがなくなってしまったため、病気がちになったり、覇気がなくなる」という声が聞かれました。
また、高齢者の認知症の度合いが進み「うちに帰りたい」と夜毎発する、
というお宅も複数件ありました。

●仮設住宅団地内
「自治会役員は決まったものの、自治会運営について、決定していないことが多い。
また、支援員が見回りにはきているものの、住民同士のコミュニケーションを促すまでの役割は果たせていない。」
域外から来ていただく支援について、役員ばかりに負担がかかることが多く断りたい時もあるが、
支援を必要としている住民もいるのでやむなく活動することもある、という話もありました。

●仮設住宅への域外からの支援
「これまでは、避難所の代表者に直接交渉して、避難所内で配ってもらったり、大規模避難所でフリーマーケットのような形を取ってさばいたり、イベントをするにしても、避難所に訪問すればよかった。しかし、仮設住宅は個人宅と同じであると考えると、戸別訪問がしにくくなっている。」

域外からの支援に関しては、行政・民間・住民の連携がうまくできていないように見受けられました。
支援員は仮設住宅内での課題を解決するように配置されているのか、域外からの支援に対しての窓口とはなりえていないように思われます。
「0にもなっていないところを、プラスでいろいろ持ってこられても」という行政と「マイナスなんだからプラスにしようよ」という域外支援者間の、認識のギャップが存在するようにも感じます。

この問題の解消には、岩手県大船渡市の仮設住宅支援拠点サービスのような機関を南三陸町にも配置し、行政からも、今後どのような形で仮設住宅民へのサービスを提供しようとしているのかを開示してもらい、それに向けて現在足りていない事柄を民間がサポートすることが必要だと思われます。

これにより、行政は通常のサービスを提供できるまで、機能を回復させることに注力でき、それに加えて、今まで行っていなかったサービスで、現在必要とされるサービスを住民に提供することができるようになるのではないでしょうか。

レポート:遠藤/編集・文責:RCF 向野

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