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3月27日 「社会的企業・NPOの『子育てと仕事の両立』に関するシンポジウム」開催されました

ゴールドマン・サックス証券株式会社様(以下、GS社)の社会貢献活動「女性起業家支援プログラム」の一環として「社会的企業・NPOの「子育てと仕事の両立」に関するシンポジウム」が、3月27日(月)GS社にて行われ、プロボノ参加社員や関係者、各団体メンバー、関心をもつ一般参加者やメディアなど、50名以上が参加しました。

プログラム概要

一昨年より、GS社は TOMODACHIイニシアチブと連携し、「女性起業家支援プログラム」をスタート。本プログラムにおいてRCFは、プログラム企画・運営等の事務局を担当しております。
前回、2015年度は3名の女性起業家(株式会社READYFOR、特定非営利活動法人maggie’s tokyo、特定非営利活動法人Light Ring.)の経営課題解決として、起業家側・GSプロボノ社員5名程度でチームを組み、数か月間の伴走支援を行いました。
前回成果報告会のレポート記事はこちら
今回、2016年度のプログラムテーマは「子育てと仕事の両立」。
社会的企業・NPOにとって経営陣・職員のスムーズな産休復帰、復帰後のフレキシブルな業務体制整備は事業継続・拡大のために重要な経営課題です。ただ多くのNPOは事業運営で多忙であり、また周りに既に取り組んでいるモデル事例も少ないため、両立のビジョンや取り組み方をイメージしづらいのが実情です。
そこで本年度は、社会的企業・NPOの「子育てと仕事の両立」に関するプログラムとして、特定非営利活動法人トイボックス(大阪府)、特定非営利活動法人かものはしプロジェクト(東京都) を支援先とし、GSプロボノ社員5名・1名のGSアドバイザー社員の計6名のプロボノチームが各支援先へ約3か月間伴走(9月末~12月末)。支援先の両立に関するビジョン・計画づくりおよび実施サポートを行いました。
(GSプロボノ社員は、お子さんがいる方・NPOと関わりあった方が多く、部署はリーガル、コンプライアンス、テクノロジー、法人営業、オペレーションズと様々な専門知識を有する方で構成)
本シンポジウムでは、プログラムでの両立の取り組み方・成果の共有。また、社会的企業・NPOが「子育てと仕事の両立」に取り組む必要性や課題などについて、パネルディスカッション形式で意見が交わされました。

プレゼンテーション


冒頭では、「ウーマノミクス」の提唱者としても知られる、GS社副会長 キャシー・松井氏が開会の挨拶を行い、TOMODACHIイニシアチブとの連携でこのプロボノ支援を行う経緯と意義について述べられました。

特定非営利活動法人かものはしプロジェクト


共同代表 本木恵介氏によるプレゼンテーションが行われました。
かものはしプロジェクトは、共同代表とマネジャー2名が2016年に産育休を取得し、17年4月に復職予定です。社内制度上は比較的フレキシブルであるものの、スタッフレベルでは子育て当事者は少数であり、復職する側も、復職者を迎える職場側も、「復帰した後に、仕事と育児の両立ができるのか?周りのスタッフも気持ちよく仕事できるのか?」という不安があった、といいます。
プログラムでは、まず日本職員に対するヒアリングを通じて課題を把握し、構造的に整理(産育休~復帰・復帰後・将来的な産育休取得時ごとに、当事者と、経営陣・人事側の実施内容・論点を整理)したあと、特に復帰に向けた体制づくりについて、産育休者の声も汲みつつ、社労士との規定整備の意見交換、産育休復帰者・受け入れる職場の心境についてGS社員の経験談の共有、GS社の両立施策を参考にした社内への両立周知・議論の場の設置企画検討といった、目標実現手段の検討と実行プランの策定を伴走推進しました。

特定非営利活動法人かものはしプロジェクト
http://www.kamonohashi-project.net/
世界の「子どもが売られる問題」をなくす活動をしているNPO法人。1990年代から子どもの人身売買被害者が急激に増えていたカンボジアで、2002年から活動を開始。 子どもを売らせないために、カンボジアのい草で生活雑貨をつくる工房を経営し、貧しい家庭の大人に就業の場を提供することで、子どもが売られることを未然に防ぐ。2012年から新たにインドにも活動展開、問題解決のために現地のNGOと共に活動を継続。

特定非営利活動法人トイボックス


代表理事 白井智子氏によるプレゼンテーションが行われました。
白井氏は、ご自身が3児の母であり、ご自身や職員そして地域住民が、子どもの預け先(保育園や、放課後安心して預けられる学童保育など)が近隣に足りないという悩みを抱えていました。また、全職員が安心して子育てしながら仕事を続けられる状況をつくりたい、男性職員も育休をとれるような文化を醸成していきたい、という課題感をお持ちでした。
プログラムでは、自団体含め地域の子どもの居場所づくりとして、企業内保育所の設置、学童保育の事業化について行政制度のリサーチや地域住民へのヒアリング等ニーズ調査を実施、また、自団体の今後妊娠/出産予定職員の産育休取得可能な体制づくりとして、職員へのヒアリング等で両立に関する課題を整理・活用できる行政サービス(産育休取得支援の各種助成金・ベビー・シッター制度等)を調査・申請サポートを行いました。
結果、企業内保育所設置・学童保育事業化についてトイボックス内の方針が整理され、また男性職員が社内で初めて育児休暇を取得・助成金も活用するに至りました。
また、プログラム中のGS社員が「いままでNPOは身近ではなかったが、トイボックスが関わっていた法案成立をみて、実は社会変革はNPOから始まっている、と気づいた」という言葉に泣きそうになった、といったエピソードも共有され、参加者が大きく頷くシーンも見られました。

特定非営利活動法人トイボックス
http://www.npotoybox.jp/toybox/
2003年6月設立。大阪府池田市では不登校児童生徒のための全国初の公設民営のフリースクールを、福島県南相馬市では発達障がい等、困難を抱える子どもの支援センターと保育所を運営。こども達への教育相談や居場所づくり支援を実施。また、指定管理者制度を活用した公共施設運営や商店街などの地域活性化の事業では、市民協働のプラットフォームづくりを通して子育てしやすいまちづくりに取組む。

パネルディスカッション

「いま、子育てと仕事の両立に取り組む重要性」と題してパネルディスカッションが行われ、白井智子氏、および小沼大地氏(特定非営利活動法人クロスフィールズ 代表理事、現在2児の父(*))、上田彰子氏(ゴールドマン・サックス証券株式会社 社長室長兼人事部長、現在2児の母)の3名がパネラーとして登壇しました。(モデレーター:一般社団法人RCF 大槻洋介)
(*クロスフィールズは、2016年夏に小沼氏が1か月の育休を取得、同年、NPO初 「イクボス中小企業同盟」へ加盟しています)

▼なぜ子育てと仕事の両立に取り組むのか
小沼:
新しいことをやってみたい、という思いがあった。以前NPO法人フローレンス代表理事の駒崎さんが、育休を取得して職場の権限移譲が進んだとブログにあげているのをみて、新しい!面白い!と思っていた。実際、育休を取ることで職場・家庭、ともに「権限移譲」が進んだ。
上田:
金融業の資産は人材。社員が実力を発揮する環境づくりが重要で、子育ては一つのアングルになるし、自分の世代は介護が重要となる。組織としてはそれにどう対応するのかが課題になる。自分も子ども2人を社内の事業所内保育に預けていたし、リモートデスクトップ等のテレワークで自宅作業をしている。社内の保育所だと自分の好きなタイミングで復職できる。

▼両立に取り組んだ結果、気づいた課題・得られた効果
白井:
「両立できる組織づくり」の必要性は社会的な共通認識となった一方、「自分の職場」「自分の仕事」で両立支援をするとなると「当事者」以外の方からは理解を得ることは難しい場合もあることが大きな気づきだった。当初、プログラムにフルコミットしていたのは自分だけだった。ただGSプロボノ社員の皆さんがやんわりと、かつ関わりやすい形で、共同代表や人事側スタッフをプログラムのコミュニケーションに引き込んでくれたことが、本当にありがたかった。
小沼:
第2子出産前、自分は育児に理解あるイクメンと思っていたが、実際育休を取ってみて、そんなことはなかったと痛感。妻から家事の権限移譲を受けることで、家事の全体感を把握できた。自分が育児に対して全面的にオーナーシップを持ち、妻へ一部お願いをする等マネジメントの必要性を感じた。職場では逆で、同僚たちが僕から権限委譲を受け、代表の業務の大変さがわかったと言われた。ちょっとしたジョブローテーションになった。

▼「両立できる組織づくり」への継続的な取組みが、なぜ社会的企業・NPOにとって大切なのか
白井:
出産して育休したとき、経営者である私が抜けて業務が回らなくなった。やむを得ず、まだ1か月半で首ぐらぐらの新生児をかかえて職場に行ったことがあり、そこからは、自分がいなくても業務がまわるよう組織変革を進めていった。両立できる職場づくりは、結果的にサステナブルな組織づくりとなる。今後は、ママランチや、行政の助成金等制度の活用もしていきたい。
NPO全体では、私も小沼さんも新公益連盟(*)の理事、かものはしプロジェクトも会員、新公連に加盟する団体は両立の取り組みができている、となれると良い。
(*全国約80の社会的企業・NPO等の連盟組織)

▼今後両立に取り組む社会的企業・NPOへメッセージ
上田:
熱意をもって取り組むことは大事。子育てということにとらわれず、正しいと思うことを進んでいく。この課題を解決していくことがいいのでは。
小沼:
両立の取り組みを「ゆるく」考えることも重要。育休中はこうあるべき、のような意識ではハードルが高く、ちょっとやってみようといった雰囲気が広がりにくい。私は育休中も毎日1〜2時間は仕事していた。「育休中は仕事しちゃだめだよ」という声も何人かからもらったが、育休中は「100%育児しなければいけない」と考えず、グラデーションつけて取り組んでいくのもいいのではないか。男性経営者の中で両立の取り組みが広がっていくことは重要。
白井:
この1年の間に想像できなかったことが起こった。2017年4月から保育所事業が始まる。フリースクールに関する法律ができた。なによりも、自団体内で両立に関する意識が高まったことこそ大きな変化。

GS社プロボノ参加社員の声


法務部 中井綾氏(かものはしプロジェクト プロボノチームリーダー)
「NPOでは、親という立場を生かせる女性がたくさんいる。(共同代表の)村田さんは事業をされていて、かものはしの広告塔としても動いている。社会課題に対し、女性であることを生かしてイニシアチブをとっていくことが大事だと思う」
コア・コンプライアンス部 桜井かほる氏(トイボックス プロボノチームリーダー)
「自分にも子どもがおり、両立は自分事でもある。ただでさえ育児は大変なのに、白井さんはNPOの代表理事という立場でさらに厳しいと思う。NPOの活動の結果、法律が変わったニュースを見て『変革の風はNPOから吹く』と感じた」

本件に関するお問い合わせ

主管:一般社団法人RCF(担当:佐藤)
E-mail:info-gspb@rcf.co.jp
Tel:03-6447-0041
関連リンク:ゴールドマン・サックス様の社会貢献活動

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