社会課題・地域課題の現場に「越境」する社会人の学びの場づくり「未来の教室」事業
こんにちは!「未来の教室」事業(※1)担当の佐々木です。
本事業は、社会課題・地域課題を題材としたリカレント教育(※2)プログラムを広めていくことを目的として、経済産業省から委託を受け実施をしています。
2018年度にスタートした本事業は今年度で3年目となりますが、2020年度は民間事業者と連携した研究会の開催と情報発信を実施します。
※1 経済産業省 「未来の教室」のWEBサイト
※2 リカレント教育とは、経済協力開発機構(OECD)が1970年代に提唱した生涯教育の一形態。学校教育を終えた社会人になってからの学び(再教育、循環・反復型の教育システム)のこと。(参考:日本の人事部)
■プロジェクトの背景
RCFでは、東日本大震災以降、被災地の自治体や事業者と被災地外の人材とのマッチング支援を実施してきました。これは、復興の担い手を増やすだけではなく、「被災地(社会課題・地域課題の現場)を学びの場に」という想いのもと、赴任する人材にとっても成長・キャリア形成の機会となることを目的としていました。
一方、人生100年時代、DX(デジタル・トランスフォーメーション)等の環境変化の中で、リカレント教育のあり方が注目されています。特に、従来型の知識インプット型座学研修だけではなく、リアルな社会課題・地域課題に取り組むことによる実践型人材育成がますます重要と考えられ、経済産業省では2018年度、2019年度にプログラム開発実証事業が実施されました。
実証プログラム例:RCFによる2018年度未来の教室実証事業「Ocean Academy」
■取り組む意義
前年度までは実証事業として行ってきたリカレント教育プログラムですが、今年度は企業に対して情報発信を行うことで、導入拡大を目指しています。
未来の教室事業で実施しているような実践型人材育成プログラムは、受講者と所属する企業、地域にとって意義があると考えています。
受講者にとっては、近年注目されている「越境学習」(※3)の効果が期待できます。日々のビジネスの現場を離れ、非日常である社会課題の現場に”越境”することで、リーダーシップの啓発やデザイン思考の獲得、視野の拡大につながります。
企業にとっては、人材育成に加え、社会課題起点の事業創造に繋がることが期待されます。
また受入側の地域やNPOにとっては、関係人口の創出・拡大、企業との連携に繋がることが期待されます。
※3 越境学習とは、ビジネスパーソンが所属する組織の枠を越え(”越境”して)学ぶこと。法政大学大学院の石山 恒貴教授は、自分にとってのホームとアウェイを行き来することによる学び、と定義している(参考:学校法人産業能率大学 総合研究所)
法政大学大学院政策創造研究科 石山教授による越境学習の説明資料をもとに作成
■活動内容
本年度は研究会の開催、企業に対する情報発信の2つの軸で事業を進めています。
6月26日には「未来の教室リカレント教育研究会」第1回を開催し、過去2年間実証事業を行ってきた事業者を中心に、9団体32名が参加し、今後のリカレント教育のあり方を議論しました。
〇研究会アドバイザー
法政大学大学院 政策創造研究科 石山 恒貴 教授
〇研究会参加団体(順不同)
特定非営利活動法人クロスフィールズ
株式会社パソナJOB HUB
株式会社ファーストキャリア
株式会社セルム
株式会社ボストン・コンサルティング・グループ
学校法人立命館
株式会社リディラバ
経済産業省
一般社団法人RCF(事務局)
オンラインでの第1回未来の教室リカレント教育研究会開催の様子
■今後の展望
今後は、7月、8月に研究会を開催し、その検討内容をふまえて9月以降は特設ウェブサイトやオンラインセミナー等での情報発信を予定しています。本事業が、社会課題・地域課題を題材としたリカレント教育のムーブメントの後押しになればと考えています。
今年で東日本大震災から9年となります。RCFは「被災地(社会課題・地域課題の現場)を学びの場に」という想いを持ち続け、ステークホルダーの皆様と共に取り組みを進めていきます。