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【連載】新型コロナ禍のなか生まれた、新たなセクター連携と見えてきた次の課題(4)

新型コロナウイルス感染症に伴って起こっている社会課題に対して、現在RCFが取り組んでいるプロジェクト事例とその考察をお伝えする連載。これまで3回に渡り、いくつかの事例を紹介してきました。
第1回
第2回
第3回

RCFのコロナ関連プロジェクトの取り組みはまだまだ続きますが、一旦ここでプロジェクトを通じての成果と課題、そして今後の展望について、RCFが考えていることをまとめて当連載の最終回とします。

前例のない状況下で築いたノウハウと関係性

今回のコロナを取り巻く状況は、「全国一斉に発生した」「対面での活動ができない」「先が読みづらい」と、非常事態と言ってもこれまでの災害とは大きく異なっていたことが特徴です。

東日本大震災も未曾有の非常事態であり、前例のない中で取り組みを構築しなければならない状況ではあったのですが、それとはまた異なる前例のない状況下で議論しながら、ゼロベースで自分たちの領域を見直さなければならない、というハードルがありました。

RCFの場合は、これまでは緊急期のプロジェクトよりも、その後の復旧・復興期の取り組みが多かったのですが、今回は緊急期の対応を見込んでプロジェクトを行う必要に迫られました。また、これまでは特定の地域に入って実施するプロジェクトが多かったのですが、今回は地域での対面での取り組みが難しかったり、そもそも地域というよりもほぼ全国が対象というなかで、オンラインベースで広域の方々と関係を作り、プロジェクトを構築・実施するという体制を強いられることになりました。

しかし、否応無くそのような新たな取り組み姿勢に向きあったことで、組織としても様々な気づきや発見、ノウハウの蓄積に繋げることもできました。

たとえば、ソーシャルセクターと企業、ソーシャルセクターと行政との協働によるプロジェクトはこれまでもずっとRCFが手がけてきたことですが、企業の予算、行政の予算を活用してソーシャルセクターが実施する、という関係性は、構造上どうしても「対等」にはなりません。第1回で紹介したWeSupportでは、企業とソーシャルセクターが対等な関係でパートナーとして仕事を進めることができ、これは大きな成果の1つであったと考えています。

「WeSupport」取り組みイメージ図

社会全体が目先の対応に追われている

一方、社会全体に目を転じると、多くのNPOは対面での取り組みができないために、課題の現場に行けず十分に力を発揮することができませんでした。RCFはそのなかでも新たな動き方に転換することができましたが、転換しきれず従来通りの動きができずにいる団体が、数多くいたのです。

コロナ禍は前例のない状況ゆえに、政府や行政に対する世の中の期待が随分高まってしまい、しかしながら行政のもつ公共性という性質上、幅広い支援や目に見える部分の支援に偏りがちです。これまでの連載でも一部紹介してきたように、コロナの影響で実際にはかなり複雑な状況、多様な問題が生まれています。それにも関わらず、支援は一様になってしまっており、まだまだきめ細かい支援ができている状況とはいえません。

多くの人が「現場に行けない」という状況で、メディアも行政の動きや発表、知事発言などの発信に偏り、本当に厳しい状況下にある方々の声をあまり拾ってこれませんでした。また、行政側も世論や目の前の状況に引っ張られ、緊急対応に多額の予算をつぎ込んでいる状況があります。従来、災害等の復興に際しては、行政は10年越しで復興計画を立てて実施するという伝統がありますが、その本来のやり方が今できていないのです。

災害が起きると、たとえば「毛布がないから送る」といった行動がSNSで広がり、現地に毛布が溢れて困ることが度々起き、問題視されてきました。感情に流されずに一歩先を読んで対策をしていくことが、非常事態においても大変重要なのですが、今回のコロナでは、行政もこのSNSで起きる問題と同じ構図、つまり目先の問題にとらわれて対処療法のみを繰り返すようなことに巻き込まれているようです。

また、メディアで報じられていない情報に世間の目が向かないということも、大きな問題です。たとえば昨年の台風15号で、甚大な被害を受けた千葉県鋸南町で復旧が遅れ、何ヶ月も屋根をブルーシートで覆ってしのいでいたことが一時注目されました。今も現地の問題は解決していないのですが、メディアが報じなくなった瞬間、その問題は世間から忘れられ、放置されてしまっています。今回のコロナ禍でも、一体どれだけの人がメディアで報じられていない問題に関心を寄せているでしょうか。

コロナ禍においても、本当の問題はこのあと起こってきます。コロナによる緊急事態宣言は一旦解除されましたが、復旧・復興はこれからです。社会全体の近視眼的な視点を広げるためにも、RCFはコロナ禍で顕在化した課題を見つめ、解決に取り組み、情報を発信し続けることが大切だと感じています。

専門性や現場の声を課題解決に活かす必要性

社会課題の解決には、これまでの蓄積を元に取り組んでいく、一定の専門性が必要です。行政の役割は専門性ではなく公共性にあるため、行政ばかりに頼るのではなく、専門性を持つ組織・団体が声をあげ、より長期的な視点でどういうお金の使い方をしていくべきなのか、提案していくことが重要です。

今の社会は、SNS上ですらも本当に困っている小さな声がかき消され、流される状態ではないでしょうか。このままでは、この先大きな災害が起きた時に、もっと大変なことになる恐れもあります。RCFとしては、社会問題、特に災害時の復旧・復興の専門家としての役割を担っている以上、専門的な知見を持つ立場から発信していくことを、もっと意識していかなければいけないと考えています。

コロナ関連については、行政が緊急対応に多くの予算を投入しており、また被害が出ている地域も全国というなかで、RCFとして復旧・復興フェーズで何ができるか非常に悩ましい状況です。しかし、コロナ禍で困難な状況に立たされた人々や地域が回復するには2、3年はかかるでしょう。RCFとしては、これまでの取り組みで得た実績や手がかりをもとに、緊急対応で終わらせず、たとえ小さい規模でも、現場で実際に起きていることに即した取り組みを行っていく考えです。また、コロナだけでなく今後起こるであろう災害も見据え、緊急対応だけでなく復旧・復興もいかに実施していくかという点で、政策提言していく必要があると考えています。

そのためには、我々RCFの社会事業コーディネーターも、1人ひとりがもう1段上の力をつけていくことが今後の課題です。社会事業コーディネーターという立場は、ともすれば行政や企業が決めた枠組みを実行する役割となりがちですが、今後はそれ以上に、現場から課題を拾い上げ、長い時間軸を見据えて必要な施策を提言するという役割が大事になります。ただ決められた枠組みの業務を引き受けるだけでなく、「そもそもこの時代の、この社会状況下で何をすべきか」という検討段階から相談していただけるように、RCFはより現場の小さな声を拾い、問題を発見し、本当に必要なところから施策を作っていける存在を目指します。

「私たち一人一人が、公共政策をつくる。」

代表藤沢が、以上のような問題意識から昨年11月の立ち上げから関わっているPEP(=Policy Entrepreneur’s Platform)という「政策起業家」のコミュニティがあります。

目指すのは、多様な主体が当事者意識を持ち、政・官・民・学・NGO/NPO 等の垣根を超えて知恵を出し合い、政策につなげるためのポジティブな行動を重ね、課題解決を実現できる社会。

「政策起業家」とはPEPが提唱する言葉で、公のための課題意識のもと、専門性・現場知・新しい視点を持って課題の政策アジェンダ化に尽力し、その政策の実装に影響力を与える個人のこと。この概念を広め、またそのような人々を増やし、活躍しやすい素地を作るためのプラットフォームとして、PEPは発足しました。

2020年7月15日(水)、PEP設立を記念して、政策起業家シンポジウムをオンラインで開催します。代表藤沢のほか、ヤマトホールディングス特別顧問 木川眞氏、認定NPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹氏など9名がコアメンバーとして関わり、そのほかヤフー株式会社代表取締役 川邊健太郎氏、認定NPO法人カタリバ代表理事 今村久美氏、慶應義塾大学医学部教授 宮田裕章氏、ジャーナリスト 治部れんげ氏など様々な分野で活躍する方々も多数登壇します。

PEP運営コア・メンバー

参加は無料ですので、ぜひ多くの方にご視聴いただければ幸いです。
▼政策起業家シンポジウムの詳細ページ(こちら
※7月10日(金)申込締切

RCFはいつでも新たな仲間を募集しています

全4回の連載でまとめてきたように、新型コロナウイルス感染症による社会の変化に伴って、ソーシャルセクターやコーディネーターの役割はますます大きくなっています。

地震・台風の他、今回の感染症のように予測不可能な非常事態も頻発し、その都度変化を求められる社会のなかで、企業や行政だけで社会を担うことが難しくなっています。ソーシャルセクターには、そこを補う役割も期待されており、行政や企業と連携しながら課題解決のために動く立場として、社会事業コーディネーターのニーズは増し続けています。

RCFでは、私たちと一緒に社会課題の解決に取り組むメンバーを募集しています!

社会事業コーディネーターは、「社会の課題から、未来の価値をつくる」仕事です。ご関心ある方は、下記ページからエントリーをお待ちしております。
▼社会事業コーディネーター採用ページ(こちら

またRCFでは定期的に会社説明会を開催しています。RCFの事業や社会事業コーディネーターという領域に関心ある方はもちろん、「社会課題の解決ってどんなことをするの?」という方も大歓迎です。お申し込みは下記ページからお願いいたします。
▼オンライン会社説明会お申し込みページ(こちら

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