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【アーカイブ】【第29号】地域自律の復興支援

━ ◆◇◇ 第29号 ◇◇◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
RCF 復興支援チーム メールマガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2012.4.22━━━
━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. RCF活動報告
2. 課題から見る復興支援のこれから- RCFが行うプロディース型支援 –
3. 【ブログ】『スペンドシフト』から読み解く東北復興のあり方
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1. RCF活動報告(4/9~4/20)
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【コミュニティ支援】
☆コミュニティ支援のニーズに関してヒアリングを実施中。
4/9-4/10
釜石のコミュニティ支援に関してのニーズ調査(岡本)
【水産加工業支援】
☆水産加工業支援に関して、事業者様ヒアリングを実施中。
4/19
水産加工事業者様の活動に関してインタビューを実施。石巻訪問。(岡本、茂木)
【教育支援】
☆教育支援の現状把握・ニーズについての調査及び具体的な支援の実施。
4/19
北上にて、大船渡教育支援の具体的な支援策について協議(岡本)
4/19-4/20
教育支援の基礎調査に関連し石巻の学校を訪問。ヒアリングを実施。(岡本)
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2. 『課題から見る復興支援のこれから』 - RCFが行うプロディース型支援 –
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■課題から見る復興支援のこれから
震災から1年経ち、被災地は本当の復興に向け、歩みを進めています。
徐々に平穏を手にしつつあるように見えますが、まだまだ、難しい局面は続いています。
これからの局面に必要な支援を今RCFが考えている課題を通して、考えていきたいと思います。
・新たなフェーズへ – 復興支援期 –
(参考資料:https://rcf311.com/2012/04/20/kadai/)
被災後の緊急支援期、その後の生活再建期を経て、現在は復興支援期に入っています。(資料1)
復興支援期~生活再建期にはインフラや港などハード支援が重点的に行われてきましたが、復興支援期には仕組み産業等のソフト支援必要だと考えています。

・なぜソフト支援が必要なのか。
沿岸部の多くの市は、たくさんあった村や町が一つになったという経緯があります。
そのため地域の結びつきが非常に強い事が特徴的です。現在でも地域で仕事が生まれ、地域で生活がまわっています。
このような経緯から、地域にあった支援を行っていく事が必要な課題になっており、また地域性の強さを生かした、地域の自立が重要になってくると考えています。

・RCFが行っている東北支援のカタチ
RCFは行政・企業・NPOと連携して、前記したようなコミュニティ単位でのプロディース型支援を行っています。(資料2)
地域住民が持つニーズに対して活動を行っている、NPOへの支援や、住民のニーズをヒアリングし、企業のCSR事業への情報提供を行っています。
また民間の活動と行政が連携できるように、仕組みづくりの部分で支援を行っています。
ソフト部分に重点をおいた支援を行う事で、地域自立実現のお手伝いをしています。
次項に代表藤沢が考える東北復興のあり方を掲載いたします。
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3. 藤沢烈ブログより (3月20日掲載)
『スペンドシフト』から読み解く東北復興のあり方
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東北復興のあり方についての考察を、代表藤沢が行っています。以下よりご覧頂けます。
「東北復興は、日本復興につながる」と言われます。私もそう信じている一人です。理由は二つ挙げられます。
一つは、少子高齢社会のモデル地域になりえるから。
一つは「スペンド・シフト」といった価値観に基づいた復旧復興が実現しうるから、です。

■高齢化が猛烈に進む東北被災地
被災地は元々高齢化率が高く、人口減少が予測されていました。
2048年に日本人が1億人を切ると予測した、国立社会保障・人口問題研究所の有名な資料を紹介しましょう(下記リンク)。
p39によれば、2035年に大船渡や陸前高田の人口は2/3に。釜石は1/2近くになるとされています。
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson08/gaiyo.pdf
神戸もそうであったように、震災後は雇用が失われます。
若者世代が流出し、高齢世代は残るために(年金があるから稼ぎに都会に出る必要がありません)、高齢化率は高まることになります。実際、被災地の人口流出も続いています。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201203030598.html
超高齢化が進む被災地。
裏を返せば、そうした地域で、現地が望む復興を実現できれば、日本全国で進む高齢社会のモデルになりうるわけです。
だからこそ、東北復興が日本復興につながるといえる。

■スペンド・シフト1「消費から生き方へ」
ここまでは、よく言われる話しでもあります。今回お伝えしたいのは、もう一つの理由。
それはリーマンショック以降、欧米中心に進んでいる価値観の変化です。
『スペンド・シフト』(プレジデント社, 2011)(1437旅★4)に詳しいため、いくつか引用します。
「数字は、ほぼ30年にわたってアメリカ経済を牽引してきたこれまでの消費行動が、ついに廃れたことを物語っていた。
成金趣味の豪邸、SUV、気晴らしのためのショッピングなど、過去数年間に広まった露骨な金満の証しに別れを告げよう。
コミュニティ、つながり、品質、創造性を大切にしたライフスタイルを身につけよう」p12
「2010年にハイチで地震が起きた後、『救援募金に協力するために、ショッピングや外食を控えている』という声がいたるところから聞こえてきたという」p115
「借金の時代はモノが主役だったが、貯蓄の時代となったいま、世の中を動かすのは意味である。わたしたちは物質主義を捨てて身のあるものを重んじる姿勢を強めている。何を持っているかよりも、わたしたち自身に何が備わっているかが大切になってきている」p340
消費社会の象徴だった米国でさえ、若い世代を中心に消費=豊かとは思えなくなってきたとの考察です。
所得が減ったから賢く生活しているだけであって、景気回復したら元に戻る、という意見もあります。
ただ、多くの人々が「何を持つか」ではなく「いかに生きるか」に関心の軸をずらしているのは確かでしょう。

■スペンド・シフト2「効率から、信頼・地域性へ」
安さや効率よりも、信頼性や地域性が重視されてきたと「スペンド・シフト」は主張します。
「スペンド・シフトを通して、規模はもはや競争優位ではないことが明らかになった。
コストを押し下げるための経済性と効率性、売り上げを伸ばしていくための流通網は、以前ほど威力を発揮していない。
大規模なバリューチェーンを支えるには大きな顧客セグメントが必要であるため、どうしても八方美人的な発想になり、誰かのハートに強烈に訴えかける商品やサービスの提供を目指さなくなる」p361
個人的に、復興の現場でも同様の価値観があるように思われます。
鯨の缶詰で有名な、木の家石巻水産の木村社長も「大規模な流通は望まない。復興需要はいずれなくなる。付加価値の高い製品を、少数の販路に売っていきたい」と語っていました。
東北復興という大文字の議論を始めると、大企業誘致や、スマートグリッドや、選択と集中といった言葉が踊ります。
仙台など一部地域ではそうした議論も当てはまるでしょう。
しかし、被災地の多くでは、地域コミュニティに根ざしたものづくりを復旧させ、長期間ファンになってくれる層をいかに作るかが課題なのです。

■東北は日本と世界から注目されるか
「消費」から「生き方」へ。「効率」から「信頼・地域性」へ。
2000年代以降、静かに進む世界の風潮の上に、東北復興もそのまま乗っていると私は考えます。
一部の若者が高い給与を捨てて東北を目指し、また効率的なビジネスよりも地域に根ざした事業再開を進めているのも、そうした理由ではないでしょうか。
持続的なかたちで「スペンド・シフト」的復興を実現した際に、東北は日本のモデルになり、また世界からも注目される場となる。
私はそのように感じています。

■(参考)コミュニティ形成のためのチェックリスト
おまけです。『スペンド・シフト』には、ミートアップ社最高コミュニティ責任者であるダグラス・アトキン氏による、コミュニティの可能性を見極めるためのチェックリストが掲載されています。
復興が進むためには、数百ある被災地のコミュニティが、いかに自律的になるかが鍵だと考えます。
その意味で参考になります。ややダブりがある気がしますが、参考までに載せておきます。
ただ人が集まるだけではコミュニティにはならない。
その地域における目的と、実現のための役割分担が必要だとのメッセージです。同感です。
・現実のニーズを満たしているか。より多くの学びや楽しみをもたらし、何かの実現や支援につながっているか。
・目的は明快に示されているか。
・メンバー構成は明らかにされているか。
・メンバー同士の交流はあるか。
・もともとの参加理由だけにこだわるのではなく、末永い絆がはぐくまれているか。
・共通の目的を果たすために、貢献、参加、協力などが見られるか。
・メンバーが互いにコミュニティ全体への責任を感じているか。
・メンバーが果たすべき役割、責任、仕事は決まっているか。
・自己管理ができているか
・行動の指針やルールはあるか」 p164
(ブログより引用:http://retz.seesaa.net/article/258922216.html
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発行:RCF復興支援チーム https://rcf311.com/
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発行人:藤沢 烈 編集:小林 辰洋
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