インターン卒業生
堀俊太郎
【プロフェッショナルとして価値を創造して貢献したい】インターン経験を通して、自分や組織、そして日本の「あるべき姿」が見えた
- 2016年からRCFで2年間インターンを経験し、その後、国家公務員として厚生労働省で労働政策の企画・立案に取り組む。「政策立案・実行に集中できる『ミライの霞が関』を作りたい」という思いから、2020年11月19日には、河野太郎行政改革担当大臣に対し「若手が考えるミライの霞が関プロジェクト」の提言を行った。
- 「若手が考えるミライの霞ヶ関プロジェクト」提言の背景
ー今回、霞が関の働き方改革についての提言を出したと聞いています。自らの意思で提言を行ったとの事ですが、その動機はどこからきたのでしょうか?
https://note.com/miraigaseki/n/n7ba844cecba4 - 私たち行政官は、世の中を良くしたいという思いを胸に霞が関に入りますが、一方で、入省した時に抱いていた社会の役に立ちたいという志を十分に発揮できていないのではないかというもどかしさを持っていました。
若手職員の業務の中には、霞が関に入ろうと思ったきっかけの「政策を考える業務」とは違うような、日程調整や会議に用いる書類整理といった雑多な業務も多いと感じていました。
(出典:「若手が考えるミライの霞ヶ関プロジェクト」提言書より)
https://drive.google.com/file/d/1U8AcUuX86vtxnwfOmQhVnRmKaGwDzNsA/view
また、仕事にはやりがいを感じているにも関わらず、どうしても家庭との両立などで霞が関の働き方と個々の生活の折り合いがつかず、志半ばで霞が関を離れる先輩や同期の姿を見てきて悔しい思いをしました。
このような状態では、国民のために政策を考えて実行していくという霞が関の機能自体を十分全うできないのではないかという問題意識があったので、小さな一歩でもアクションを起こしてみようと思ったのがきっかけです。
さらに現状は、霞が関の外に赴く時間がなかなか取れておらず、繋がりがあまり持てていません。私は、今後のあり方として、行政内に閉じこもるのではなく、企業やNPOなどのアクターと連携しながら、大きな政策目標を実現していくべきであると考えています。様々な関係者と協働しながら社会課題解決の主たる役割を担えるような、未来の霞が関を作りたいのです。 - 「連携と協働」を実践したRCFでのインターン経験
ー霞ヶ関の中だけでなく、多様なアクターとの協働が大切と考えているんですね。そのように思うようになったきっかけはあるのでしょうか。 - やはり、RCFでの経験がすごく大きいですね。私は、2016年から、大学3年から4年生の時にインターンをしていました。
RCFは「社会事業コーディネーター」として、課題の現場で多様なステークホルダーと連携しながらビジョンを作り、関係者の調整と課題解決を推進していくことをミッションとしています。
最初は、RCF代表の藤沢さんの補佐として、社会課題解決のために多様な主体が連携しあう「コレクティブインパクト」の実践を間近に見てきました。また、様々なNPOのイノベイティブな取り組みや、RCFのメンバーの多様なバックグラウンドを学び、視野が広がったことを覚えています。
その後、具体的なプロジェクトにも関わらせていただき、福島県における避難地域の社会福祉ビジョンの策定支援に取り組みました。原発事故の影響で、住民が避難されている地域の社会福祉のあり方、ビジョンの策定を支援するというものです。
「地域包括ケアシステム」という医療・福祉分野の基本コンセプトがありますが、そのような国の政策が、実際に福島の現場でどのように実現されていくのかを学ぶ事ができました。
また地方の人材支援にも携わりました。地方のまちづくり組織のリーダーの方々の、各地域への思いや生き生きと仕事をされる姿がとても印象に残っています。 - ーRCFのインターンを通して得られたことはなんでしょうか?
- 一番は、社会事業コーディネーターという概念です。全てを自分でやるのではなく、社会の様々な立場の方が連携し、資源を活用して成果が出るように仕掛けていくという発想自体、RCFで学びました。
元厚労省事務次官の村木厚子さんは著書で、「これからの公務員には繋がる力が大事になる。従来の取り組みを取り払って、自治体や企業、NPOともチームを組んで進められる、柔らかい頭の人が活躍できる。」と記しています。これを読んだ瞬間に、これはまさにRCFの社会事業コーディネーターだ!と思いました。
インターン経験のおかげで、「今後のあるべき姿」のイメージを持てていることがすごく大きな学びだと思っています。
また、今の仕事は、いわゆる働き方改革についてですが、この仕事に関してもRCFという組織から学んだことは大きいです。
RCFでは、自分たちのミッションに対して、業務の無駄をできるだけ廃して、いかに効率よく成果をあげるかに注力されていました。また、皆さん多様なバックグラウンドを持ち、女性の比率も高く、家庭や育児との両立をされている方々が働かれていました。組織のあり方を学んだことは、将来の日本の働き方を考える上で貴重な経験になっています。 - 持続可能な社会を目指して
ー堀さんが今後成し遂げたいことは何でしょうか? - 社会課題が多様化・複雑化する一方で、社会の担い手はどんどん減っています。そんな状況下でこそ、行政と企業とNPOが各々の強みを生かして協働していくことはとても重要だと思っています。そのためには霞が関の職員は、各アクターと広く繋がりつつ、社会課題の設定や分析、法令によるルール形成、システムの改善など、プロフェッショナルとして価値を創造して貢献していくことが必要だと思っています。
僕が理想とする社会は、社会の構成員が、個々の立場を超えて他の立場の人にも共感を持つことのできる社会です。地域のコミュニティなど、それぞれの人がリアルな感覚を持って繋がり、社会のことを考えられる場所づくりも大事だと考えています。また、少子高齢化社会で持続可能な経済社会のモデルを示すことは、日本のみならず21世紀の大きなミッションであると思っており、そのフロンティアを日本が開拓していくことができると思います。