
6月20日 JEBDA・RCF共催「共創イノベーションセミナー」開催されました
6月20日、主催:一般社団法人新興事業創出機構(JEBDA)、共催:一般社団法人RCF「第2回 共創イノベーションセミナー」が、東京・品川の株式会社日立製作所様 会議室をお借りして開催されました。
テーマは「地方創生に地域外の企業が関わるインパクトとは何か?~復興のフロントランナー、釜石市・女川町のオープンシティ戦略に学ぶ~」
東日本大震災は、日本が抱える地方の課題を10年先に進めたと言われます。被災地を“課題先進地”から“課題解決先進地”にするには、地域の行政・企業・NPOの連携に加え、豊富な経営資源を持つ地域外の大手企業の関わりが鍵を握ります。
復興のフロントランナーである釜石市と女川町における「オープンシティ戦略」の実践事例を中心に、全国各地の地方創生に大手企業がどう関わり、どんなインパクトを出したのか。
当日は、日立グループの社員を中心に、JEBDAサポーター企業、釜石や女川にゆかりのある多様な企業の社員、メディアなど120名以上の方に参加いただきました。講演やパネルディスカッションの合間には「ミニワークショップ」として聴衆同士がシェアリングする時間も設けられ、会場全体的な対話による理解共有が行われました。
- セミナー概要
- 特別基調講演「地方創生の課題と展望」
- 講演「釜石市オープンシティ戦略が目指すもの」
- 講演「女川町の1000年に一度のまちづくり」
- パネルディスカッション「釜石市・女川町に地域外の企業がなぜ関わるのか?そのインパクトは何か?」
- ミニワークショップ・懇親会
- 本件に関するお問い合わせ
目次
セミナー概要
- 主催者挨拶(一般社団法人新興事業創出機構(JEBDA) 代表理事 鷹野秀征様)
- 特別基調講演「地方創生の課題と展望」(内閣官房 内閣府審議官 まち・ひと・しごと創生本部事務局次長 間宮淑夫様)
- 講演「釜石市オープンシティ戦略が目指すもの」(釜石市副市長 田中透様)
- 講演「女川町の1000年に一度のまちづくり」(女川みらい創造株式会社 専務取締役 近江弘一様)
- パネルディスカッション「釜石市・女川町に地域外の企業がなぜ関わるのか?そのインパクトは何か?」
内閣官房 内閣府審議官 まち・ひと・しごと創生本部事務局次長 間宮淑夫様
釜石市副市長 田中透様
女川みらい創造株式会社 専務取締役 近江弘一様
株式会社日立製作所 ICT事業統括本部CSR部部長兼ブランド戦略部担当部長 増田典生様
モデレーター:藤沢烈(一般社団法人RCF 代表理事) - 参加者シェアタイム
- まとめ(JEBDA 鷹野様)
- 懇親会
特別基調講演「地方創生の課題と展望」
内閣官房 内閣府審議官 まち・ひと・しごと創生本部事務局次長 間宮淑夫様より、地方創生の必要性につながる日本全体の状況や、関連の取り組みについてご紹介いただきました。
- 製造業と比べて、飲食・
宿泊や小売といった地域での雇用者数の多いサービス業の生産性が 低く、賃金水準や企業収益も低い傾向にあることから、 地域での魅力的な仕事づくりのためにもこれらのサービス産業の生 産性向上を図っていくことが必要。 - 人口の東京一極集中が進んでいる一方、
東京から地方への移住に関心を持っている方々も一定数存在するが 、雇用や生活の利便性に不安があり、移住に踏み切れていない。 そのような不安を払しょくするためにも、 地域に魅力的な仕事を創っていくことが重要。 - 現在の地方創生に関する課題は様々な要因が絡まりあって簡単には
解決できず、しかも各地域によって状況や課題が異なっている。 従来の産学官といった枠組みを超えて、 産学官金労言といった地域の幅広い関係者を糾合するとともに、 NPOや住民自身も含めた総力戦で地方創生に取り組む必要がある 。
講演「釜石市オープンシティ戦略が目指すもの」
釜石市副市長 田中透様より、釜石市における企業と連携した復興への取り組み、「釜石オープンシティ戦略」の内容と背景、各企業の釜石における具体的な活動事例などについてお話いただきました。
- 出生率向上施策には限界があり、町の豊かさを高めるのは「行動人口」「つながり人口」と考えている。
- 釜石オープンシティ戦略は「活動人口」を増やすこと。「活動人口」増加が、外部のつながり人口増加につながり、活動人口増へ、といういい循環をおこせるのではないか。
- 今後は、活動人口を増やしながら、そのきっかけづくりとしてのつながり人口を増やしていきたい。
- 釜石市で企業と連携したさまざまな地方創生事例が生まれている。企業の方という「活動人口」を増やし、市民の参画をうながすことで新しい教育事業などが生まれている。
- 地域外の企業にとって、感性が合う自治体、波長が合う自治体は必ずある。釜石と日立・JEBDAとはそういう関係になれた。まずは色々なところに行って、波長が合えば一緒に取り組めばいいのではないか。
講演「女川町の1000年に一度のまちづくり」
女川みらい創造株式会社 専務取締役 近江弘一様は、石巻日日新聞代表取締役社長、サッカークラブ「コバルトーレ女川」代表者でもあります。女川町が取り組む地方創生の戦略と成果について、お話いただきました。
- 女川町は明治・昭和・チリ地震・東日本大震災と町のつくり直しを経験。もともと周辺市町村との合併を経験したことがない町で結束力は強いが、今回は特に強固なものになった。東日本大震災で女川は全てが流された。全く何もないところで、かえって可能性を感じやすくなった。女川町復興連絡協議会を立ち上げ、行政、議会、民間、町民の4輪駆動で、教育など様々な分野で協力体制を築いている。
- 女川町は人口減少日本一、高齢化が非常に進んでいる。「60代は手も口も出すな。10年後・20年後を想像できる30代40代に任せる」という方針により、活動は30代40代に任せ、60代以上は全員顧問。
- 「コバルトーレ女川」を結成して今年で10年。約60人の選手が女川に来ており、定着率は高い。選手が女川で結婚したり、スポンサーの水産業者や漁業者を手伝うことがきっかけで生業にした者もいる。
- 「女川シーパルピア」のまわりに昼の町、夜の町、工房など、エリアを分けて作り、1日じゅうずっと町の中で過ごすことができるしくみ。
パネルディスカッション「釜石市・女川町に地域外の企業がなぜ関わるのか?そのインパクトは何か?」
パネルディスカッションにさきがけて、RCF代表理事 藤沢よりRCFの紹介、および、増田様より日立製作所様の取り組みについてご紹介いただきました。
一般社団法人RCF 代表理事 藤沢烈
- 「社会事業コーディネーター」:企業・行政・NPOが一丸となって推進する必要がある、という状況の中で、調整役(交通整理役)を担っている。
- 行政と現地事業者、復興支援企業が連携してブランド化を推進した事例の一つとして、岩手県野田村と組んで「荒海ホタテ」というホタテのブランド化。東京の著名バーや料理店など、域外の販路を新規開拓。
- プライスウォーターハウスクーパーズ株式会社(PwC)・岩手県庁・RCFの3者で、被災地域の産業復興に向けた協定を締結。協定に基づき、2-30社の現地事業者に対して支援を推進。(詳細はこちら:2014年9月11日 PwC社プレスリリース)
株式会社日立製作所 ICT事業統括本部CSR部部長兼ブランド戦略部担当部長 増田典生様
- 釜石 唐丹町「釜石ヒカリフーズ」および「唐丹町漁業協同組合」の業務システム改修やWebサイトリニューアルをはじめ、釜石エリアの経済全体の活性化にむけて、社員十数人で活動を行っている。詳細:日立ソリューションズ様Webサイト「ITを活用して「唐丹(とうに)町の地域活性化」をめざした復興支援」
- 日立はBtoBでなくBtoS(Social)企業と考えている。活動にあたって大切にしていることは価値の最終提供先である社会課題基点で考えること。すなわち、社会/地域のニーズや課題からバックキャスティングで考える。次に協創。支援する側される側ではなく、地域のステークホルダーと共に価値を生み出す姿勢が重要。
《釜石・女川に特に企業が集まる理由》
- 震災前から住民のカルチャーとして、外の人を受け入れる土壌があった。「企業誘致」を通じて人口流失を食い止めてきたこと、漁師町で若い人を柔軟に受け入れる風土がもともとある(養子縁組など)。オープンな雰囲気。
- 釜石・女川どちらも、町自体のグランドデザインがしっかりしていて、「自分が町の中のどの座標にいて、何ができるか」をイメージしやすい。また、ステークホルダー間の仲が非常に良い。
《地域にとっての成果、企業にとっての成果》
- 企業の人間と地域住民とで、人間的なつながりがうまれる。つながりで、これからも活動を続けることができる。
- 社内観点では人材育成。自分のスキルが社会で役に立つことの実感。ひいては、所属企業へのロイヤリティ向上。マネタイズは後からついてくる。
- 女川町の場合、主なステークホルダーはいろいろ兼務しており、多様な視点の持ち主が数多くいる。多様な視点で活動やその成果を広げ、効率化していくプロセスに価値がある。
- 行政は公平性を担保する必要があり、一方で企業は一点突破できる。住民を巻き込んでいく際に、上手く役割分担していくのもありではないか。
ミニワークショップ・懇親会
講演のあいまには、ミニワークショップとして隣同士などで感想や疑問・質問、自己紹介や情報交換をして会場全体が盛り上がりました。
また、終了後の懇親会でも、企業やセクターの壁を超えた交流が行われ、地方創生のさらなる実現へ向けた可能性がいくつも生まれた場となりました。



本件に関するお問い合わせ
内容に関するお問い合わせ:一般社団法人新興事業創出機構(JEBDA)津田
Mail:tsuda@jebda.com TEL:090-3311-4743
本記事、および取材関係お問い合わせ:一般社団法人RCF 広報担当
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