【終了】7月23日 慶応義塾大学 G-SEC復興リーダー会議シンポジウムで藤沢、山口、安谷屋が登壇しました
7月23日、慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所(G-SEC)主催セミナー 復興リーダー会議シンポジウム「記憶で終わるのか,教訓とできるのか~東日本大震災から5年 G-SEC復興リーダー会議の足跡~」が慶応義塾大学にて開催されました。
「復興を支えるしくみづくり」パネルディスカッションでは藤沢烈(代表理事)がモデレーターとして、「復興の道を共に歩む」パネルディスカッションでは山口里美(UBS釜石コミュニティ支援プロジェクトマネージャー)と安谷屋貴子(福島県双葉町復興支援員)がパネリストとして、それぞれ登壇しました。
★詳細は主催者Webサイトがリリースされ次第、本サイトにて後日リンクを掲示いたします。
本ページでは、弊団体登壇者の発言を中心に一部をご紹介いたします。
関連リンク:《7/23:要参加申込》慶応義塾大学 G-SEC復興リーダー会議シンポジウム「記憶で終わるのか,教訓とできるのか~東日本大震災から5年 G-SEC復興リーダー会議の足跡~」
岡本全勝氏基調講演
岡本全勝氏(内閣官房参与、福島復興再⽣総局事務局⻑(前・復興庁事務次官))からは、前例のない大災害からの復旧復興を官僚トップとして先導された立場から、人・モノ・カネ・情報の「マッチング」(つながり)を軸とした、これまでの取り組みと、そこからの学びとして「(建物、道路、インフラなどのいわゆる「ハード」に対して)ソフトこそが日本を守り育てるレジリエンス」というお話をいただきました。
パネルディスカッション1「復興を支えるしくみづくり」
パネリストの宮川祥子氏(慶應義塾⼤学 看護医療学部准教授/ 情報⽀援レスキュー隊 IT DART 理事)、高橋大就氏(⼀般社団法⼈東の⾷の会 事務局代表)、岡本正氏(弁護⼠/ 中央⼤学⼤学院客員教授/ 慶應義塾⼤学 法科⼤学院⾮常勤講師)に対して、モデレーター藤沢烈(一般社団法人RCF 代表理事)より、2つの問いかけを行いました。
「復興やこれからの防災における「連携」の重要性」という問いには、連携やアライアンスは、支援団体間だけでなく活動の現地化(現地団体への事業承継)をしていくうえでもITによる情報共有が不可欠(宮川氏)「フィッシャーマンズ・リーグ」に代表される、地域を超えたビジョン共有による水産業ネットワークの意義(高橋氏)、罹災証明書だけでなく各種助成金の存在や手続き方法など、あまり知られていないが災害時に必ず必要となる法務知識を「伝える」役割としてマスコミや教育現場・企業などへのリーチが必要(岡本氏)、といったご意見をいただきました。
「これまでの活動を受けて、日本社会に活かしたい(還元したい)こと」という問いには、ITのバラマキではなく導入・運用まで支援すること(宮川氏)、レジリエンスとしての防災教育や人材育成(岡本氏)、都市部と現地とを更に密に連携させるコーディネーターの更なる必要性(高橋氏)が挙げられました。
ただ一方で、復興が進んできてインフラや住居などが安定してきたことにより、地域の「保守性」が復活してしまい、せっかく出てきたイノベーションを妨げかねない状況が見られる、というリアルな課題もまた、浮き彫りになりました。
パネルディスカッション2「復興の道をともに歩む」
山口里美(⼀般社団法⼈RCF UBS 釜⽯コミュニティ⽀援プロジェクトマネージャー)、安谷屋貴子(⼀般社団法⼈RCF 双葉町復興⽀援員)、細川星児氏(岩⼿県職員/ NPO法⼈wiz 理事)、南郷市兵氏(福島県⽴ ふたば未来学園⾼等学校 副校⻑)という、それぞれ復興の現場(現地)で活躍する顔ぶれに対し、モデレーターの大久保和孝氏(新⽇本有限責任監査法⼈ 経営専務理事 )および会場から、現場活動での状況、苦労やターニングポイント、エネルギーの源泉などについて問いかけがありました。
山口は、商店街に対して支援の手があまり行き届いていない点に注目し、G-SEC復興リーダー会議(第3期)で学んだ「コミュニティ・オーガナイズ(CO)」(住民自身が持っている力を結集して、コミュニティの力で社会の仕組みを変えていくこと)という手法を使って、釜石の中心市街地再開発に伴う商店街復興を通じたコミュニティ形成に取り組んでいます。復興の度合いもスピード感も、動機も多様な住民や支援者、自治体などを巻き込んでいくために「共に歩む」ビジョン共有を心がけるお話をいたしました。
一方でこの「釜石モデル」を今後地域内でさらに裾野を広げていくために、地域にリーダーシップやる気のある方がさらに出てくることが必要、今既にリーダーシップをとっている方の「次に続く方」を発掘、「経営塾」などを通じて地域の中で果たしていただきたい「役割」を提供することにより、彼らにモチベーションの変化が生まれてきている、という状況もご紹介いたしました。
参考記事:岩手県釜石市 コミュニティ 形成支援のモデル事例に学ぶ(東北復興新聞)
安谷屋は、活動の具体的な手応えとして、最初は「双葉町に縁もゆかりもないのにどうして?」という反応からスタートしたものの、初対面の町民に会う際には、既にご紹介いただいた町民の名前を出すなどの工夫をしたり、釜石の事業の導入時に山口里美さんが初日から住民と一緒に草むしりをしたというエピソードを参考にしたりして、町民との関係構築を進めたという話に加え、震災から3~4年くらいの時期、ちょうど住宅再建などによって住まいを安定させられたころから、「次のステップに進んでみようかな」と思えるようになったという町民の声も紹介いたしました。
「今日は会場にマスコミの方も多いが、マスコミへの注文はあるか」という会場からの問いに対し、「ふたさぽとして活動する前、双葉町について知るために、新聞やテレビ、Webから情報を得た。しかし現場に入ってみて重要なことは報道されていないことがわかった。例えば、双葉町民は秋に山でキノコを採ることがとても好きで、時々キノコの画像をタブレット等で見せると、町民のみなさんのテンションが、今でもとても上がる。そういうみなさんが震災と原発事故で、山に入れなくなることで何を失うか、都市部の生活者の目線では伝えきれないのではないかと感じる。また、女性というか生活者の目線での情報もないと感じた。キッチンに立たない男性にはわからない、鍋や釜がない状態からどう生活を立て直したのかなど。そういうことが気になる」ともお話しいたしました。
参考リンク:双葉町復興支援員(ふたさぽ)の活動(ふくしま復興応援隊Webサイト)
細川氏からは、復興リーダー会議とも深い関係を持つ岩手県のNPO法人wizのスタートと活動について、現段階ではまだ成果まで追えていないとしながらも、都内等で行うSNS集客イベントは参加者が多く、手応えを感じているというお話をいただきました。
ふたば未来学園高校副校長の南郷氏からは「ふるさと創造学」の取り組みのご紹介がありました。同校では生徒にチームで様々な立場の地域の人々に会いに行って地域課題を考え、演劇で演じる授業が行われています。簡単に答えの出ない地域課題の表現は難しいですが「前例なき災害には前例なき教育を」という創立時のスローガンのもと、受験・進学のためのカリキュラムとは一線を画した教育に対する強い思いを述べられていました。
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G-SEC復興リーダー会議事務局 nxl-office@gsec.keio.ac.jp
本記事に関するお問い合わせ:
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