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【COLUMN】復興支援とは何か。中長期的に被災地に関わり続ける意義(前編)

こんにちは!RCF広報担当です。今年も日本全国で大雨や台風による災害が続いています。RCFは東日本大震災を機に設立した団体ですが、毎年のように起こる災害による被災地で復興支援を行っています。

復興支援とは何か。なぜ発災から何年もかけての支援が必要となるのか。
2018年に起きた西日本豪雨災害の被災地、愛媛県宇和島市の事例をベースに、復興支援担当とのインタビュー形式で、前編後編に分けてお伝えしたいと思います。

 ー愛媛県宇和島市は2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けました。RCFでは2018年から現在に至るまで復興支援を続けています。どのようにして支援が始まったのでしょうか。

宇和島市支援の始まり

 愛媛県宇和島市の農業関係の被害総額は150億円にも上り、宇和島市の基幹産業である柑橘農業が特に大きな被害を受けました。これを受けて、RCFは発災後すぐに現地調査を開始し、行政や農業関係者に対するヒアリングを通じて、必要な復興支援の検討に向け、課題やニーズを探りました。
 まず特徴的だったのは、愛媛県では松山市や大洲市も被災する中で、松山空港から90km程離れた宇和島市は被害の報道も少なく、外部の支援も届いていませんでした。地域の基幹産業が大打撃を受けていることを地域外の人に知ってもらうべく、現地調査での滞在中から、株式会社READYFORと災害緊急支援のクラウドファンディングの相談を始めました。

クラウドファンディング

 READYFOR社のご協力により、わずか5日後には、えひめ南農業協同組合との合意も経て「宇和島市かんきつ農家復興支援プロジェクト」というクラウドファンディングを立ち上げることができましたこのプロジェクトでは、総勢616人からのご支援をいただき、目標金額の200万円を大幅に超えて500万円の寄付が集まりました。
この成功には、元NHKアナウンサーで、現在は特定非営利活動法人8bitNewsを通じて社会課題を発信している堀潤さんが、現地報道とクラウドファンディングでの発信を行ってくださった影響も大きかったです。このような経緯を経て宇和島市とのご縁ができ、宇和島市の復興・まちづくりアドバイザーとして、復興計画の策定にアドバイスを行いながら、RCFとしても柑橘農家の支援や中間支援組織の立ち上げ等、復興に向けた中長期的な支援事業を展開し始めました。

宇和島市柑橘農家復興支援プロジェクトサイト

 

ー宇和島市では具体的にどのようなことを行ってきたのですか?

大きく分けて4つに注力しました。

1. 販路支援

 まず始めたのが、販路支援です。災害により、基幹産業である柑橘農業が甚大な被害に遭い、果実の収量が激減するとともに、販路が失われてしまいました。当時、災害支援として、農園・設備などの復旧支援はなされていましたが、販路継続の問題が未解決であったことから、販路開拓に力を入れました。そこで我々は、新たな販路として、今までなかったECサイトを開設しました。また、ECサイトの開設に伴い、「宇和島みかん」という名前で発信を行い、宇和島の地域情報、農家情報等を含んだウェブサイトにて、宇和島市の発信も広く行いました。

2.柑橘農家担い手支援

 被災を受けて廃業を考える農家も出てくる中、課題になっていたのは担い手の育成でした。復興事業の一環で、園地の復旧や新たな販路確保等が進む中、その事業を継続していくために必要な担い手の育成が急務となってきました。
また、災害後に被災地の支援を希望する方が多く、園地復旧、柑橘収穫等に全国各地からボランティア、期間限定のアルバイトが多く集まりました。集まった中で、宇和島を気に入り、長く残ることを希望する方も見受けられました。そんな中、せっかく残った若手農家において、入った農園の親方等との人間関係、農園という限定的な環境での孤立等により、一人前になる前に離脱するケースもありました。
上記状況を踏まえて、宇和島の柑橘農家を希望する方と、担い手不足に悩む農家をマッチングする機能づくり、マッチング後の地域内で支えるしくみづくりを進めるため、柑橘農家担い手支援の事業を進めました。
宇和島市役所において正式な窓口を設置し、研修生が安心して農業に関わるようサポートをしました。毎年5、6人の若者が新規に研修生として来てくれ、それぞれに合った農家を見つけて、新規研修生一人一人にマッチした環境を提供しています。
また、新人同士や受入農家との交流の場を設けたり、受入農家を超えて農法を学んだりする機会もつくり、学びと共に新たな環境に馴染んでいくこともサポートしています。

柑橘新規就農者支援の様子

 

3.中間支援組織づくり

 次に一般の方々についてお話すると、宇和島市では西日本豪雨により、多くの方が被災し、その再建には4〜5年かかるとされていました。そのような状況下で、RCFとしては、中間支援組織を作り、継続的な被災者支援の仕組みづくりに着手しました。
宇和島市では、約20の団体が様々な支援を行っていましたので、その情報やリソースをまとめる場(定期的な情報共有会)作り、団体同士の連携、地域内外の企業等からの支援(ボランティア等)の地域の活動へのマッチングを行う機能が必要になっていました。その機能を担う組織として、中間支援組織を立ち上げました。中間支援組織では、住民・企業・NPO・行政間の情報交換の場を作ることにより、それぞれの活動や情報をまとめ、円滑な支援体制をつくり上げていきました。

宇和島復興支援に向けた会議

 

4. 子ども食堂

  災害の影響で仮設住宅にお住まいの方々の話を聞いたり、地域の支援ニーズを探る中で、元々あった地域コミュニティが分断され、隣人同士の助け合いも希薄になっているという問題が見えてきました人々が助け合い、繋がる場所を作るために、宇和島NPOセンターと宇和島市のNPOのU.grandma Japanと連携して「地域食堂」を定期的に開催しています。ここは、高齢者や一人親家庭、子供たちが集まって、お互いをサポートする場として機能しています。このようなコミュニティ作りは、特に災害やコロナウイルスの影響で疎遠になっていた人々にとって重要です。
また、国で取り組む高齢者や一人親等の孤独・孤立の課題への取組みにも繋がっています。食支援から始めることで、地域住民が自然と集まり、地域住民がお互いに助け合い、悩みを共有できる環境を作っています。

後編へ続く

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