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卒業生
岡本 敬史

【RCFでの経験は必ず自分の糧になる】社会課題の解決に関わりたいと思ったらまずは飛び込んでみて欲しい

プロフィール
エンターテイメント企業及びIT企業を経て、東日本大震災を機に2011年にRCFに参画。理事として、事業開発や経営管理の責任者を担い、事業拡大を牽引。2016年に障がい者支援を手掛け東証一部上場企業でもある株式会社LITALICOに転職し、執行役員を務める。2020年には株式会社LITALICOメディア&ソリューションズ代表取締役に就任。
現在のお仕事についてお聞かせください。
障害のある方への就労支援や、発達障害のお子さまへのソーシャルスキルの支援事業などが会社の本軸ですが、これらの既存事業のプラットフォーム化を行う新規事業を立ち上げ、現在その責任者をしています。転職したころは少数のスタッフでしたが、今では100名を超える規模に拡大しました。具体的には、既存事業で培ったノウハウを他社に提供したり、世間でも誤解されやすい障害についての正しい知識などを、広く社会に発信するメディア事業、支援者の人材紹介事業などを行っています。
RCFでの事業が今のお仕事に活かされている、と感じることはありますか?
大きく3つあります。一つ目は「0から1にする事業に携わったこと」です。RCFでは企画や提案から始まり、それを関係者を巻き込んで実行していくことが必要とされますよね。当時は当たり前のようにやっていましたが、振り返ると、社会課題を捉えて事業化するという経験は、今の仕事にとても活きていると思います。
二つ目に「多様な関係者にどうバリューを出していくかという視点」があげられます。マルチステークホルダーの調整をRCFで行った経験は、かなり役立っています。私の担当しているプラットフォーム事業では複数のサービスを提供しているため、ユーザーが様々で、同業界の福祉施設もいれば、当事者や当事者の家族、あるいは支援団体の場合もあります。それぞれに対して自社のリソースのどの部分を活用し、関係者の利害を調整しつつどのようにバリューを出していくかを考える必要があります。RCFでの事業と手法やアプローチがとてもよく似ていると感じます。
三つ目は「ビジョン・ビジネス両方のバランス感覚を持っていること」です。自分も常に気をつけていることではあるのですが、多くの場合、「ビジョンを大事にする」か「ビジネス視点で物を考えるか」のどちらかのみの視点になりがちです。前者は想いを語り、後者は利益を語ります。本来は繋がっているものであり、ゼロか百かの議論ではありませんが、実務レベルではかみ合わないこともあります。その点、RCFでは社会性と事業性の両軸で事業づくりをしていたので、それが自分の強みになっていると思っています。
東日本大震災の復興支援から、RCFの事業拡大の牽引まで幅広く業務に従事された岡本さんですが、特に印象に残っているプロジェクトはありますか?
岩手県釜石市でのプロジェクトの立ち上げですね。復興は、堤防や土地利用などのハードの面とコミュニティの形成などソフトの面が同じくらい大切です。私の着任当時はまだまだ混乱が続いていて、自治体と住民との会合では怒号が飛び交うような状況でした。
地域での仕事はまずキーパーソンとの関係構築が重要です。始めから受け入れようとしてくださる方もいましたが、「ヨソモノ」に対して厳しい視線を向ける方もいらっしゃいました。東京からきた外部の人間が突然、「コミュニティ形成」などと言い出したのだから当然です。ただ、時間をかけて、自分なりに一緒に同じ時間を丁寧に過ごした結果、少しずつ理解してくださる方が増えていきました。関係構築はまさに手探りで、特技のマラソンを活かして、地域の中学校の陸上コーチも引き受けました。その年の駅伝大会で万年ビリを脱却したときにはチームのメンバー皆で涙したこともとても印象に残っています。
そうやって時間をかけて、地域の方々との信頼関係を作っていかれたんですね。0から始めた事業が前に進んだと実感されたときはありますか?
事業をスタートさせて数ヶ月が経ち、他のメンバーが赴任してきたときですね。メンバーが自然と地域のみなさんに溶け込んでいました。今も活躍されている山口里美さん(東北×コミュニティリーダー)のような素晴らしいメンバーだった、ということももちろんありますが、自分と地域の方の「個」の関係だったものが、「チーム」の関係になったと実感でき、「これでもう大丈夫だな」と思いました。
釜石での仕事を通じてコーディネーターという立場の重要性を改めて実感しました。現地での役目を終える頃に、現地のキーパーソンの方から「最後までぶれなかったね」と言われたことが心に残っています。着任当初から、コーディネーターという中立的な立場を守っていたのですが、例えば、住民は行政批判を言いますがそれには簡単に同調せず、行政にも行政のスタンスがあると説明する。行政には住民の考えや懸念点を伝える。その上で双方に納得感がある形で事業進めなくてはなりません。実際には住民の方に「いや、行政にはこういう考えや理由があって…」と説明し、いら立たせてしまったこともありましたが、結果として双方が合意する形での事業にすることができたのです。その上での「最後までぶれなかったね」という言葉は、とても感慨深かったですね。
最後に、転職を考えている方へのメッセージをお聞かせください。
社会課題はどうして解決されないのかと疑問に思ったり、自分で解決してみたいと思ったら、まずは飛び込んで欲しいと思います。ソーシャルセクターへの転職に不安を感じる方もいると思いますが、社会課題を解決する仕事というのは、これまでにない考え方や手法を導入し実現していくことでもあるので、難易度が高く、結果として必ず自分自身の成長に繋がる、と思っています。0を1にするという貴重な経験や、同じような志を持った仲間と出会える機会など、RCFにはたくさんの可能性があると思います。