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【COLUMN】復興支援とは何か。中長期的に被災地に関わり続ける意義(後編)

こんにちは!RCF広報担当です。前編では、宇和島市支援の始まりや柑橘農家支援についてお聞きしました。後編では、RCFが長期的支援を行う理由や行政や企業との関わりについて、復興支援担当の方にインタビューをしました。

長期的支援の意義

 ーどうして長期的な復興支援が必要となるのですか。どのような社会課題があるのでしょうか?

被災地支援と聞くと一般的には緊急支援のことを指し、物資の提供や復旧作業のボランティアの派遣をされる団体が多いように思われます。そんな中RCFは、災害が起きた半年後や一年後から支援活動をスタートし、その後の復興過程で関わりを持つ珍しい団体です。
世論では、復興支援は数年経てばもう必要ないと思っている方が多いと思いますが、被災地には継続的なサポートが不可欠で、持続的な社会システムを作り、被災者の生活や事業者の再建に寄り添い続けることが重要だと考えています。
例えば、一般的に家屋が倒壊や浸水の被害にあった場合、再び住める状態になるまで時間がかかります。仮設住宅に住まわれたり、その後災害公営住宅に移ったりということが起こります。そうすると何が起きるか。それまではあったご近所づきあいがなくなり、人と人とのつながりが失われてしまいます。特に高齢の方や一人暮らしの中年の男性等で、孤立しやすい状況になってしまいます。そこで必要なのが、人と人とのつながりの場を提供したりする被災者の心のケアです。
また被災した事業者も同じく、事業を再開できる状態になるまでに時間がかかります。行政は設備復旧に向けた補助金等の支援はしてくれますが、事業が停止している間に、それまでにあった販路や雇用していた人材は失われてしまいます。そこで必要になってくるのが販路の拡大や人材確保の支援で、RCFではそこをサポートしています。
東日本大震災では、多くの復興支援がなされてきましたが、復興庁では東日本大震災の被災地のみを扱っているのが実状です。以降も多くの災害が起き、東北以外の地域も支援を必要としている地域もありますが、支援対象にはなっていません。復興を支援する非営利団体として、そういった行政の支援の狭間にある地域や領域での支援を進めたいと考えています。

行政との関係構築

ー被災地で支援を進めるにあたって、行政とはどのように関係を築いていきましたか?

復興支援をする団体として、災害発生後の初期の対応は、地域の関係者の状況把握と信頼関係の構築から始まります。支援対象地域のステークホルダーにどのような人がいるか、どのような人と関係を持つべきかを考えて動き出します。
宇和島市の場合、被害の大きかった柑橘産業の支援が必要なのではないか、という仮説をもっていたので、地域の関係者にヒアリングさせて頂き、地域側のパートナーとなって頂いたのがえひめ南農業協同組合でした。
前編で触れた「宇和島市かんきつ農家復興支援プロジェクト」のクラウドファンディングには、様々な意味合いがありました。大雨による被害だと畑に土砂が流れ込んだり重機が使えなくなったりして復旧作業が長引きます。そうすると、高齢の農家の方はもちろん、若くして就農した農家の方も、離農を考えざるを得なくなる恐れがあります。農家の皆さんのモチベーションを維持するためにも、全国の皆さんからの応援の声は非常に重要でした。クラウドファンディングで支援して下さった総勢616名の方の想いと声を届けられたのは大きかったと思います。
 またご支援頂いた500万円は、災害支援の金額としては限定的に感じられるかもしれませんが、地域では被災後に国の支援を待っている状態が続きますので、柔軟に使える資金というのは金額以上の意味を持ちます。また、被災時に自社のサービス等の紹介をするケース等はありますが、資金と支援を同時に届けられるところは多くありません。その結果、えひめ南農業協同組合や宇和島市役所と良好な関係を築くことに繋がりました。

宇和島みかんのブランドサイト

 

行政との連携体制

ー事業推進においては、どのように行政との連携体制をとりましたか

RCFは東京の団体ですので、現地との関係構築や細かな調整のためには現地側にもコーディネーターが必要です。宇和島市の場合、東北の復興支援でもご一緒してきた株式会社ウィンウィンと連携し、総務省の地域活性化起業人という制度を活用し、ウィンウィン社から宇和島市役所に人材派遣を行いました。毎年1年、3年間継続して人材を派遣してもらうことができました。これにより現地コーディネーターは半官半民という立場で事業を推進することが可能になり、地元住民・団体と密接に連携しながら、外部からの支援を地域につないでいく活動ができるようになります。
また、宇和島市の復興まちづくりアドバイザーの就任の機会を頂き、宇和島市の復興計画と連動させた取組みとできたことも大きかったと思います。例えば復興計画の柱の1つに、中間支援組織づくりが位置づけられていました。復興計画に位置付けられた取り組みは、行政がその先5年程度に渡ってコミットしていく分野になります。RCFではそこと連動して、前述の宇和島NPOセンターという中間支援組織づくりを行いました。

 

企業との関わり

ー人材派遣において企業と連携したとのことですが、他にはどのように企業と連携されているのでしょうか

まず大きかったこととして、フィリップ モリス ジャパン合同会社からも、中長期の復興支援プロジェクトとして2100万円を拠出して頂くことができました。その資金をもとに、えひめ南農業協同組合と協働して、販路開拓や今後の柑橘産業を担う新規就農者の支援などさまざまな事業を行うことができました。
また販路支援にあたっては、ヤフー株式会社と協力し、宇和島産の商品の販売促進を行いました。ヤフーエールマーケットを利用して、宇和島みかんオンラインショップを開設した結果、1000人を超えるユーザーに利用して頂くことができました。
また今年に入り、日本曹達株式会社と協力し、企業版ふるさと納税を活用した寄附をいただくことになりました。関係機関と連携のもと「宇和島柑橘農家の担い手育成プロジェクト」のもと新規就農者のサポートを進めています。
RCFでは、復興を切り口に企業と地域を繋げるのも役割だと思っています。復興支援をきっかけに企業と地域のご縁ができ、各企業にその後も地域との関わりをそれぞれの形でも持って頂いたり、あるいは地域側にも外部との連携の仕方を今後に活かしてもらえればと思っています。

 

ヤフーエールマーケット

 

最後に

ー改めてRCFにとっての復興支援の意義とは何でしょうか

RCFは東日本大震災を機に設立した団体です。その後、経済困窮家庭の支援やスポーツクラブとの地域支援等、様々な事業を展開していますが、被災地における復興支援はRCFの中核的な事業であることには変わりありません。
今後も行政においても民間においても支援の狭間となっている被災地の復興期を、地域行政や企業と連携し、被災者の生活再建や事業者の事業再建をサポートしていきたいと思います。

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